産後の骨盤とベルト

 

産後、骨盤の歪みが気になるから調整してほしい、という方が多いのでその話。

 

歪みが気になると言われるくらいですからご自身で自覚はありますかと聞くと

「出産前と明らかに違う」

「鏡を見るとよくわかる」

「前まで履けてたズボンが履けなくなった」

など様々な声を聞かせてくれます。

 

 

歪みが気になるだけならまだしもそこに痛みや痺れが伴うこともあり、ひどくなると、恥骨やお尻周辺、腰などに歩行困難になるくらいの痛みがでている例もありました。

 

 

なぜ産後の骨盤の歪みがそこまでひどい症状を伴うのか考えてみましょう。

出産の影響で骨盤は大きく変化しますので

その関係で骨盤が歪んでしまうことは大いに考えられます。

 

それ以前に、妊娠中のお腹の重さによる歪みもあるでしょう。もしかしたらすでに妊娠前から歪んでいたかも知れません。

 

歪みがあるだけなら軽く調整すれば済む話です。しかし、それで済まないのが産後の骨盤です。

 

 

産後すぐに医師や助産師さんから骨盤ベルトを勧められるようです。

出産により開いた骨盤を閉める目的なのでしょうか。

 

この骨盤ベルトは、指導するひとにもよるのでしょうが、結構な強さで締めつけるようで、それを一日中つけてなさいと言われ、その言葉を忠実に守り、約三ヶ月間ずっと締めつけていた、という方もいました。その方の骨盤はとても歪んでいました。

 

 

先ほども書いたように出産の影響で骨盤が歪むことは大いに考えられます。

その歪んだ骨盤に対してベルトを強く締めつける。これで一体どうなるのでしょう。

 

ある歪みに対しては有効かもしれません。

また開いた骨盤も閉まっていくのでしょう。

 

しかし骨盤の歪みかたは複雑なものです。

これだけやっていれば大丈夫というものではありません。

 

 

例えば、骨盤に捻れや傾きの歪みがあったとしたら、ベルトを巻いているだけでは捻れや傾きは解消されません。むしろ締めつけることによって歪みが固定されてしまい、余計にひどくなってしまう、調整を試みても改善しにくい、ということになりかねません。

 

この歪みの固定化が痛みや痺れなど産後の骨盤回りの重い症状に繋がってくるのです。

 

骨盤ベルトを一生懸命巻いていた(る)人ほど、症状が重く改善しにくいような気がしてなりません。

骨盤をただ閉めればそれでいいのか

 

 

骨盤には動きのサイクルがあり

一日のうちにわずかながら開いたり閉じたりしています。

 

季節によっても夏は開き、冬は閉じるという傾向があり、その動きはわずかでも人の体にとってはとても大切なものです。

 

産後の開いた骨盤を目の敵にしてベルトで無理矢理締めつけるのではなく、しっかりと歪みを整え、自然な動きを妨げない弾力のある骨盤にしていくことを目的とするほうが体にとって自然なことではないでしょうか。

 

 

でもどうしてもベルトがないと不安という方は、骨盤調整とベルトを併用するといいでしょう。

 

その際、ベルトはあまり強く締めすぎず、なるべくベルトに頼らないように徐々に慣らしていくようにしましょう。