喉のすぐ下から鳩尾(みぞおち)まて続く、縦長の骨があります。まるでネクタイのような形をしているこの骨を胸骨と言いますが、この胸骨が下がると、鳩尾の痛みに関係してくるようです。
先日、お客様から、歩くと振動で鳩尾が痛くなるからみて欲しいと言われました。このような症状を見るのは私も初めてなので、慎重に観察しながら原因を探していくという作業を行なっていきます。
まずは、全体のバランスを整えるために、骨盤から背骨を調整し、さらに鳩尾の裏側の椎骨が硬くなっているのを緩めます。これで一度立ち上がって確認してもらうと、鳩尾の痛みに変化はありません。
もしかしたら、胃に問題があるのかと思いましたが、ご本人は胃ではないとおっしゃいます。確かに調べてみても、胃に何かある感じではなさそうです。
実際に痛みのある鳩尾の箇所に触れて見ると「なんか嫌な感じがする」とのこと。ここは胸骨の下端、剣状突起があるところです。
胸骨の下端の剣状突起のあたりに触れると痛むということは、胸骨全体が下がっているため鳩尾を圧迫し、痛みとなっているのではと考えました。胸骨は単体で下がる訳ではなく、傍につく肋骨と一緒に下がっていきます。逆に肋骨の背中側は上へ上がっていく。
操法としては、立位の状態で胸骨上に手を置き、その皮膚をわずかに上へ引き上げます。反対の手で、背中側の肋骨上に手を置き、同じように皮膚をわずかに、こちら側は下方向へ引き下げます。
つまり、前側の下がっているのを上へ、後ろ側の上がっているのを下へ戻す方向へ、わずかに皮膚だけ動かすのです。これを90秒持続させると中の組織が変化し、調整されます。
さあこれでいかがでしょうか、と確認してもらうと、痛くないです、さっきと全然違いますとのこと。
おそらく、前かがみや前傾姿勢が長かったために、胸骨が下がって鳩尾の痛みとなったのでしょう。